ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

算数解説文

今月はどのクラスも算数の問題に取り組んでいます。

学年に応じて、足し算や引き算の文章問題や、割合、長さの問題などに取り組んでもらっています。

ノートは式や計算で埋まっていきますし、

「先生、長さの単位忘れちゃった」

「あれ?どれをどれで割ればいいんだろう?」

など、飛び交う質問も算数の内容ばかりで国語教室だっていうことを忘れてしまいそうです。

でも、これで終わりじゃないんです。

問題が解けて、しっかり理解できたら、ここからが本番。

 

 

この問題の解説文を書いてください。

 

 

その問題がよくわからない、解けないという子を想定して、その子が

「なるほど、そうやって解くのか」

と、わかるような解説文を書いてもらいます。

ただ式を書いて解き方を示すだけでは読み手に納得してもらえません。

どの数字が何を表しているのか、どうしてそういう計算をするのかをきちんと伝える必要があります。

あやふやな理解のまま答えを出している子は、自分でもどうしてそうなるのかわからなくて説明できませんし、ささっと解けてしまう子はわからない子の感覚がわからなくてどう説明していいのか苦戦してしまいます。

 

人に説明するためには、ただ問題を解くよりももう一つ深い理解が必要です。

最初から問題に正解している子でも

「ああ、そういうことだったのか」

と、いろいろ気付きがあるようです。

 

解説文作りは算数以外でも、歴史上のできごとや、電気の仕組みなど別の教科でもできます。

もう一歩理解を深めたい子は、ぜひ挑戦してみてくださいね。

感想文指導のコツ③~下書きの進め方~

感想文のコツシリーズ完結編は、下書きについて。

感想文指導のコツ①~いきなり原稿用紙に書かない~

感想文指導のコツ②~設計図を作る~

の続きになります。

 

下書きをする前に私が子どもたちに約束するのは2点。

 

●字は、読める範囲であれば汚くてもいいので、立ち止まらずにスピーディーに書くこと。

●消しゴムは使わないこと。

 

どちらも書くときの勢いを大切にするための約束です。

作文は頭の中で文を作りながら書くので、もたもたしていると浮かんだ文が掻き消えてしまいます。

下書きは自分用に書くものなので、字の美しさや正確さにはこだわらず、頭に浮かんだ文をどんどん文字にしていきましょう。

漢字が思い出せないときや点の位置で迷うときも、いちいち立ち止まったり調べたりしないで、簡単に印をつけておいて、後でまとめて検討しましょう。

その方が時間の無駄も少なく済みます。

ふだんから、メモや下書きなど自分用の素早い書き方と、人に見せるための丁寧で正確な書き方、両方使いこなせるようにしておくと良いですね。→くわしくは清書と下書きの書きかたへ。

 

また、消して部分的に直したりすると、文のバランスが崩れて文頭と文末が合わなくなることもあります。

何よりゴシゴシ消す作業に時間を費やして、書く流れを止めるのがもったいないので、ササッと線を引いて取り消して、別の場所に書き直すことをおすすめします。

 

 

さて、子どもが文を書いたら指導者は本文をチェックしますが、そのときに私が気をつけているのは

●必ず小分けにチェックする

 ということです。

 

設計図どおり全部書いてから確認すると、おそらく書き直し部分が大量に出てくると思います。

書き直しが多ければ多いほど、こどもは疲れて不機嫌になりますし、時間もかかります。

効率よく進めるには、1段落ごとくらいにチェックしてあげると良いとおもいます。

また、子どもの書く手がとまった時も迷っている証拠なので、一度声をかけて相談にのってあげるといいでしょう。

 

うまく設計図がかけていれば、設計図の項目がそのまま段落になると思います。

1項目が書き終わるごとに、予定していた内容が予定していた通りにかけているか、話が脱線していないか、長さは予定していたくらいかけているか、言葉の使い方は正しいかなどをチェックします。

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画像は1年生の子が『スイミー』を読んで書いた作文。

右側にあるのが設計図で、左側にあるのが実際に書いた下書きです。

段落と項目が対応しているのがわかるでしょうか?

 

この設計図を一緒に確認しながら、

「予定ではここの話で1枚目終わるんだけど、この段落もうちょっと長めに書いたほうがいいんじゃない?」

「この段落はスイミーのいいところをアピールする段落だから、できなかった話は別の段落で書いた方がいいよ」

などアドバイスをします。

 

設計図どおり、ひとつひとつ進めてゆくので進んでいる感が味わえますし、途中で中断しても比較的スムーズに続きから書き始めることができます。

一番うれしいのは、上から下まで書ききったら下書き完成だということです。

戻ってやり直しさせられるほどつらいものはないですからね。

 

 

このような形で下書きを終えたら、あとは一度声に出して、おかしいところはないか確認すると良いとおもいます。

漢字や点の位置もこのときにあらためてチェックしましょう。

これで下書きは完成。

あとは清書したらできあがりです。

清書の方は人に見せる用の綺麗な字で書きましょうね。

 

清書のコツというのは特にないのですが、まだ字が拙い子などは自分の字を正確に書き写すことに苦労する場合もあります。

子どもによっては指導する人が読み上げてあげるとスムーズに進むと思います。

 

 

以上で感想文指導のコツシリーズは終了です。

今年はもう書かれたという方も多いかもしれませんが、機会があったらご家庭でも試してみてくださいね。

感想文指導のコツ②~設計図を作る~

今日の記事は感想文指導のコツシリーズの2つ目。

感想文指導のコツ①~いきなり原稿用紙に書かない~

の続きになります。

 

充分打ち合わせをして書く内容が決まったら、設計図を作成しましょう。

設計図とは、どんな話をどんな順番に書いてゆくのか、作文全体の流れを簡単に書きとめたものです。

短い文章なら自分の頭の中に覚えておいて思い出しながら書くこともできるかもしれませんが、2枚3枚と長文を書くなら、どういう順番で書くのか設計図が手元にあったほうがスムーズに進められます。

細かい文章にはしなくてもいいので、目次をつくるような感覚で作ってみましょう。

子どもがいきなり自分で書くのは大変かもしれないので、慣れていない子の場合は相談しながら指導する方が手伝ってあげると良いとおもいます。

 

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↑こちらは私が例として作成した設計図です。

幼児向け絵本『ぴょーん』の感想を書くことを想定して作ってみました。

左端にゆくほど大きな話題、右端にゆくほど細かい話題が書かれています。

 

これを見ながら、口で感想が話せるのなら、もう原稿用紙に書いていいでしょう。

 

ここで大切な作業がもうひとつ。

それはどこで何枚書くのかざっくりきめておくことです。

 

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 ↑こんな感じで。

黒字で書かれているのが2枚書く場合、赤い字で書かれているのが3枚書く場合の境界線です。

おおよその目安なのできっちり区切る必要はありません。

私はいつも、全体の流れの真ん中を決め、それを基準におおまかにどこで何枚かくのか決めてしまいます。

くわしくは作文・スピーチの量を調節するをご覧ください。

 

 

全部書き終えたと思ったら大幅に字数がオーバーしてしまった、逆に3枚書かなくてはいけないのに2枚で全部の話題が終わってしまった・・・となると、後で直すのが大変ですよね。

だから途中途中でこの設計図を見て、

「あ、この話題でもう2枚目に入っちゃったから、次の話題は少し短めに書こう」

「ちょっと字数がたりないから、ここから少し詳しく書くことにしよう」

と、微調整していきます。

全部書き終わってから10行、15行増やしたり減らしたりするよりも、途中の話題ごとに1行2行調整する方がずっと楽ですよ。

 

さて、ここまでできたらいよいよ原稿用紙に書き始めます。

次は下書きの書き方についてお話したいと思います。

 

★続き★

感想文指導のコツ③~下書きの進め方~

感想文指導のコツ① ~いきなり原稿用紙に書かない~

夏休みが始まっていますが、みなさん夏を満喫していらっしゃいますか?

私は季節を感じる間もなく、毎日朝から晩まで読書感想文指導をしています。

夏休みがはじまってからの十日ほどで、原稿用紙100枚を消費しました。

もうしばらく、感想文漬けの生活になりそうです。

 

たくさんの方のご予約をいただきましたが、中には都合が合わなかったり、予約がいっぱいで受講できなかったという方もいらっしゃるかもしれません。

親子で取り組まれる方のために、私が気をつけていることをいくつかここに書いておこうと思います。

 

今日のポイントは

いきなり原稿用紙にかかせない

ということ。

 

私の講座は1.5時間×2回。

ほぼ3時間で感想文を書き上げるのですが、原稿用紙に向かって文を書いているのはその半分程度です。

残りの半分は何をしているのかと言うと、子どもと一緒に打ち合わせをしています。

どんなことを伝える文を書くのか、そのためにどんな話題を出すのか、どういう順番で話を進めてゆくのか、本人も指導する側も納得が行くまで話し合います。

 

書くことに慣れていない子の文章を解読するのはかなり大変です。

一文一文は上手に書ける子でも、書いているうちにどんどん話が脱線して行き、どこへ向かっているのかわからない状態になる場合もあります。

「何を書きたいのかわからないから、どこをどう直したらいいのかわからない」

ということになると、指導する側も困ってしまいます。

だからこそ、事前にしっかり打ち合わせをしておくのです。

 

「まず思ったまま書いてごらん」と、一通り書かせてから内容を確認することも可能ですが、それをすると子どもはかなりの量の文章を書かなくてはならず、途中で疲れて不機嫌になってしまいます。

だから文字にする前に内容を確認し、

「ここはこういう話を書くっていってたけど、この書き方だと意味を勘違いされるんじゃない?」

「次でこの話をする予定だから、この文はこんな感じでよくない?」

という具合にアドバイスをしていきます。

 

これだけで、子どもの作文の意図に頭を悩ませる手間も省けてかなり楽になると思いますよ。

 

 

次は打ち合わせの段階で一緒に作る、作文の「設計図」についてお話したいと思います。

★続き★

感想文指導のコツ②~設計図を作る~

感想文指導のコツ③~下書きの進め方~

感想を引き出すキーワード

ブログ更新をサボっている間に、季節はどんどん夏に向かっています(笑)

教室の生徒たちには7月8月にかけて、授業の中で読書感想文を一本書いてもらいます。

6月はそのための準備期間ということで、感想の出し方や長い文を書くときの注意点などを勉強しました。

 

感想文が苦手な子がよく口にするのが

何を書いたらいいのかわからない

ということ。

話を聞いてみると

「面白かった」

「見習いたいと思った」

「すごいなあと思った」

など、一言くらいの感想は出るようなのですが、そこから続かない様子。

だから授業では感想を掘り下げるためのキーワードをいくつか用意しました。

 

理由

なぜかというと、どうしてかというと

 

疑問と予想

どうして、なぜ~なのだろう?

→きっと~だからだと思う

 

比べる

ふつうだったら・・・。

僕だったら

 

もしもの話

もし同じことが身近で起こったら

もしこんな主人公が友達だったら

もしこの話で、こういうことが起こったら

 

別のエピソードを引用

前に似たような体験をした

別の本ではこうだった

友達がこんなことを言っていた

 

どんどん感想が出てくる場合は無理に使う必要はありませんが、もし感想を語るのに行き詰まったら、これらのキーワードで続きを考えて見ましょう。

たとえば「主人公ってすごい」で止まってしまったら「なぜならこういう場面でこんなことをしていたから」と、主人公のすごい箇所を詳しく説明します。

さらに「ふつうだったらこうすると思う」「僕だったらできなさそう」と繋げたり、実際身近にそんな「ふつうだったら」「僕だったら」の体験があるならここで紹介したり。

「どうして主人公はこんなふうにできたんだろう?」と疑問をなげかけ、「きっとこういう経験があったから」など、自分なりの答えを考えます。

「もしもその経験がなかったらできただろうか?」もしくは「もし自分にもそんな経験があればできるだろうか?」ともしもの話を想定することでまた話を膨らませることもできます。

そしてまた、「どうしてこういう経験があるとこんなことができるんだろう」と疑問を投げかける・・・。

 

という具合に、キーワードから思いつく内容をどんどん追加していきます。

同じキーワードを何度使っても大丈夫です。

この作業を繰り返していくうちに自分の感想をどんどん掘り下げて行くことができます。

 

低学年のお子さんの場合は、保護者の方が

「へえ、どうしてそう思ったの?」

「なんでそうなったと思う?」

「お友達に似たような子いる?」

など質問を投げかけてあげるとスムーズだと思います。

1行2行で行き詰まってしまう人はぜひためしてみてくださいね。

 

自己分析

年度がかわってあわただしくすごしているうちに、すっかりブログ更新を怠ってしまいました。

これから書くのは、年度末に教室のみんなにやってもらった作業のお話です。

 

授業の中で同じ内容をいっせいに教えても、習得度合いは人によってさまざまです。

つまずく場所や、納得する説明方法もバラバラ。

だからどんなにうまい教え方をしても、全員一人残らずわかる!ということはなかなかありません。

学校の授業や教科書は、できるだけ大勢の人が理解しやすいようにできていますが、理解の仕方が他と違うタイプの子は、頭が悪くなくても苦労することになります。

 

この教室に通っている生徒たちの特徴はできるだけ私が把握して、その子に合わせて教えているつもりですが、私にも限界がありますし一生勉強に付き合えるわけではありません。

進学するたびに合う塾を探すのも大変ですし、学校に

「うちの子に合う教え方をしてください」

と頼むのも現実的ではありません。

一般的な学校の教え方に合わないのはその子のせいではありませんが、合わないからといって待ってはもらえません。

 

だから子どもたちには、一緒に勉強できる今のうちに、自分の学習の特徴を知り、自分に合った学習方法を見つけてほしいのです。

そのために行っているのが「自己分析」の練習です。

たいそうなことをするわけではないのですが、生徒一人一人に

●今、自分ができていること

●できていないこと

●できていない原因(なぜできないのか)

●その対策(どうしたらできるようになりそうか)

を、文にしてもらいます。

 

特に重要なのは、できていない原因と対策の部分です。

ここはできるだけ具体的に、くわしく書いてもらいます。

ふだん、ほとんどの子は、ただ

「私これがだめなんだー」

「こういうの苦手」

と、ぼやくだけで通り過ぎてしまいますし、じゃあどうしようかと尋ねると多くの子が

「たくさんやる」

「もっとがんばる」

と、安易に答えます。

しっかり向き合って、何がいけないのか、どうやったらできるかよく考える、それだけで学習の仕方はかわってきます。

 

たとえば「漢字がおぼえられない」と書いてくれた子は何人もいましたが、よくよく話を聞いてみると

「書くのがおそいから、練習して覚えようとしても時間がかかりすぎてしまう」

「覚えるのはできるけれど、時間がたつとすぐ忘れてしまう」

「きちんと覚えたつもりでも、テストのときに書き方が悪くてバツになってしまう」

など、人によっていろいろな原因が挙げられていました。

原因が見えてくれば「漢字が苦手→漢字の練習をする」という方法から、さらに自分に合った対策が立てられます。

 

なんとなくできない。

なんとなく遅れてる。

そういう子は、一緒に「何がいけないのかな?」「何をやったらよくなるかな?」と一度考えてみてください。

こういう作業を繰り返すうちに、自分に合ったやりかたがみえてくるはずです。

音読のはなし3~練習メニューの紹介~

この話は

音読のはなし1~効果について~

音読のはなし2~最高の音読とは~

の続きです。

 

音読がすごく役に立つよ、奥深いんだよという話は以前書いたとおりなのですが、じゃあどうやって練習しよう?という方のために、教室で音読プリントを使って実際に行っている練習メニューを紹介します。

 

★スラスラ読み

範囲を選んで、一文字も間違えずに読めるように練習します。

「できる」と思ったら読み上げテスト。

合否を判定する人が一人必要です。

お友達や兄弟、大人の方に協力してもらいましょう。

一箇所でも間違えたらやりなおしです。

句読点でゆっくりためて読むのはOKですが、言葉のかたまりは区切ってはいけません。

だから一文字一文字たどりながら読むのはNGです。

 

「に」「を」など助詞を変えてしまったり、勝手に補ってミスする子が多いので、合否判定する人は同じ文を見ながら厳しくチェックしてください。

助詞や文末を思い込みで読み飛ばしてしまう子や、文字を読むのにせいいっぱいで、読んでも意味が頭に入ってこない子におすすめです。

 

教室では、練習が甘くて何度も間違えてはテストを繰り返す子もいるので、3回挑戦して間違えたらペナルティで本文書写などをさせています。

 

★スピード読み

早口言葉のようにひたすらスピーディーに読みます。

文字認識力を高めるための練習です。

普通の音読では「ゆっくり」「はっきり」読むことを勧められますが、ここでは見た文字を瞬時に把握して発音することを目的としているので、聞きやすいかどうかはあまり気にしません。

口がもたついて話しベタな子の練習にも良いと思います。

 

★聞き読み

本文を見ず、私が読んだ文を聞いてそのまま復唱します。

言葉を正確に聞き取る練習です。

聞いた音をそのまま発音するというのは、相手の言葉を理解するためにも大切な技術です。

苦手な子は文節程度の長さしか聞き取ることができませんが、慣れてくると1~2行くらいの長い文でもスラスラ復唱することができます。

授業中に聞き逃しが多かったり、単語を拾って適当に理解しようとする子に有効だと思います。

 

★2分間暗記

本文を暗唱する練習ですが、いつまでかかってもいいわけではありません。

2分という限られた時間の中で、何行覚えられるかを競います。

最初の一行ですぐに思い出せなくなってしまう子もいますが、前よりも1行でも多く覚えることを目標に練習することで、少しずつ覚えられる量が増えていきます。

2分という時間をどう使うのか、短時間に効率よく覚えるためにはどうしたらいいのか、どんな覚え方が自分に合っているのかを考えて、工夫していきます。

暗記時間は何分でも良いのですが、あまり長いと集中力が途切れたり余計なことをしようとするので、生徒が「短い!」と思う2~3分程度が良いと思います。

 

 

ご家庭でもできるメニューなので、よかったらぜひ試してみてください。

どんな力を鍛えたいのか意識すると、効果は大きいと思います。