感想文のコツシリーズ完結編は、下書きについて。
の続きになります。
下書きをする前に私が子どもたちに約束するのは2点。
●字は、読める範囲であれば汚くてもいいので、立ち止まらずにスピーディーに書くこと。
●消しゴムは使わないこと。
どちらも書くときの勢いを大切にするための約束です。
作文は頭の中で文を作りながら書くので、もたもたしていると浮かんだ文が掻き消えてしまいます。
下書きは自分用に書くものなので、字の美しさや正確さにはこだわらず、頭に浮かんだ文をどんどん文字にしていきましょう。
漢字が思い出せないときや点の位置で迷うときも、いちいち立ち止まったり調べたりしないで、簡単に印をつけておいて、後でまとめて検討しましょう。
その方が時間の無駄も少なく済みます。
ふだんから、メモや下書きなど自分用の素早い書き方と、人に見せるための丁寧で正確な書き方、両方使いこなせるようにしておくと良いですね。→くわしくは清書と下書きの書きかたへ。
また、消して部分的に直したりすると、文のバランスが崩れて文頭と文末が合わなくなることもあります。
何よりゴシゴシ消す作業に時間を費やして、書く流れを止めるのがもったいないので、ササッと線を引いて取り消して、別の場所に書き直すことをおすすめします。
さて、子どもが文を書いたら指導者は本文をチェックしますが、そのときに私が気をつけているのは
●必ず小分けにチェックする
ということです。
設計図どおり全部書いてから確認すると、おそらく書き直し部分が大量に出てくると思います。
書き直しが多ければ多いほど、こどもは疲れて不機嫌になりますし、時間もかかります。
効率よく進めるには、1段落ごとくらいにチェックしてあげると良いとおもいます。
また、子どもの書く手がとまった時も迷っている証拠なので、一度声をかけて相談にのってあげるといいでしょう。
うまく設計図がかけていれば、設計図の項目がそのまま段落になると思います。
1項目が書き終わるごとに、予定していた内容が予定していた通りにかけているか、話が脱線していないか、長さは予定していたくらいかけているか、言葉の使い方は正しいかなどをチェックします。
画像は1年生の子が『スイミー』を読んで書いた作文。
右側にあるのが設計図で、左側にあるのが実際に書いた下書きです。
段落と項目が対応しているのがわかるでしょうか?
この設計図を一緒に確認しながら、
「予定ではここの話で1枚目終わるんだけど、この段落もうちょっと長めに書いたほうがいいんじゃない?」
「この段落はスイミーのいいところをアピールする段落だから、できなかった話は別の段落で書いた方がいいよ」
などアドバイスをします。
設計図どおり、ひとつひとつ進めてゆくので進んでいる感が味わえますし、途中で中断しても比較的スムーズに続きから書き始めることができます。
一番うれしいのは、上から下まで書ききったら下書き完成だということです。
戻ってやり直しさせられるほどつらいものはないですからね。
このような形で下書きを終えたら、あとは一度声に出して、おかしいところはないか確認すると良いとおもいます。
漢字や点の位置もこのときにあらためてチェックしましょう。
これで下書きは完成。
あとは清書したらできあがりです。
清書の方は人に見せる用の綺麗な字で書きましょうね。
清書のコツというのは特にないのですが、まだ字が拙い子などは自分の字を正確に書き写すことに苦労する場合もあります。
子どもによっては指導する人が読み上げてあげるとスムーズに進むと思います。
以上で感想文指導のコツシリーズは終了です。
今年はもう書かれたという方も多いかもしれませんが、機会があったらご家庭でも試してみてくださいね。