汚くていいからスピード重視
下書きを始める前に子どもたちに言っていることです。
下書きって、文を考えながら書くのでとても頭を使います。
「こういう文を書こう」
と思って書き始めても、手がおいつくまえに書こうと思っていた文が掻き消えてしまう子が結構居るのです。
特に真面目な子に多いです。
一字一字綺麗に書こうとしたり、句読点の位置はこっちがいいかな、あっちがいいかなと考えたり、この漢字ならったはずだけどどうやって書くんだっけ?と調べてみたり。
そういうことをやっている間に考えていた内容が頭からどんどん逃げていき、前に書いたことが記憶から消え、前後がうまく繋がらない文になってしまうのです。
下書きのときは基本的に手をとめてはいけません。
できるだけ思った速さで書き留めていきましょう。
人に見せる清書と違って、下書きは自分が文の状態を見るための途中過程です。
自分に読める字であれば字が汚くても誤字があっても全く問題ないのです。
原稿用紙の使い方があっているか確認したり、句読点の位置を検討するのは、ざっと下書きを書いてからゆっくりすればいいのです。
調べておきたい漢字にはマルでもつけておいて、まとめて辞書を引いた方が楽ですよね。
同じ理由で下書きの時の消しゴムも禁止しています。
間違えたらすぐに鉛筆でバツをつけて、その横に書きなおします。
大幅に間違えたら無理にいじらず、これも大きなバツをつけて新しく書き直します。
鉛筆と消しゴムを持ち替えたり、消して戻るという行為をすると、頭の中も逆戻りして雑念が入るため、文が乱れやすいのです。
部分的になおすよりも潔くボツにして、新たに書き直すほうが精神的にも楽です。
いつもきちんと書いている子はどうしても
「こんなことしていいの?」
「綺麗に書かなくていいの?」
と心配になるかもしれません。
清書は人に見せるためのものですから、人に見やすいように綺麗に正確に書く事が大切です。
でも下書きはこれからいいものを作り上げるための途中過程です。
自分にさえわかればそれでいいのです。
目的によって取り組み方というのは大きく変わります。
今必要なのは美しさなのか、スピードなのか。
そう考えれば書き方も変わって来るのではないでしょうか。
清書の書き方と下書きの書き方、うまく使い分けてほしいなと思います。