ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

感想文「メロスはまたやる」

夏休みも終わり、今年も大勢の子たちと一緒に感想文を書き上げました。

今年の感想文で特に記憶に残っているのは、中学生の子が『走れメロス』を読んで書いた内容。

細かいところまでよく読んでいて、とてもおもしろい内容だったので、本人の了承を得て簡単に紹介します。

 

全体的な内容は、

メロスは自分の行動のせいで親友に迷惑をかけてしまったことを心から反省しているはず。

でもきっとメロスはまたやる。

というもの。

 

 

具体的には、

シラクスの市で「王様が人を殺す」という話をたった一人に聞いて、すぐに「生かしておけぬ!」と城に駆け出した。

しかも短剣を持っていたのですぐに捕まった。

確認も準備もしないでいきなり動き出してる。

メロスは衝動をコントロールできない人

捕まった後、妹に結婚式を挙げさせるために

よろしい、この市にセリヌンティウスという石工がいます。私の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう」

と、流れるようにセリヌンティウスを身代わりにした。

あの様子だとたぶんこれが初めてじゃない。

これまで何度も衝動で動いてはセリヌンティウスに尻拭いさせてきたんだと思う。

 

それ以外にもいろいろな場面でのメロスの行動を挙げて、

メロスに悪気はないし、すごくいい人だと思う。

だからきっと今回の件もすごく反省しているはず。

だけどよく考えて行動するということができないから、結局またやってしまうと思う。

こういう人は習慣をあらためたり、周りの人がサポートしないとずっと迷惑をかけ続けることになる。

と述べて行きます。

メロスに必要なのは正直さでも誠実さでもなく、自分のコントロール方法。

この感想を聞いてから走れメロスを読み返すと、もう完全にそういう人にしか見えなくなってしまいました。

 

こんなふうに自分独自の目線からの感想を持ち、人に伝えられることはとても素晴らしいことだと思います。

ありのままの感想を素直に書ける力を大切にしてほしいなと思います。