ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

瓜田李下~あやしまれない行動~

「暗記のテストをするから本文が見えないようにプリントを隠してね」

と声をかけると、結構な確率で

「先生、これならいい?」

と聞かれます。

 

たとえば該当ページではないけれど違うページを開いている子。

少し遠くに置いて「これなら字は見えないでしょ」と言う子。

中にはプリントを見える場所に置いて「見ないから大丈夫」と言う子。

 

そんなときに子どもたちに話す言葉がこちら。

 

瓜田に履を納れず

 李下に冠を正さず

かでんに くつを いれず

 りかに かんむりを たださず

 

瓜の畑で靴を履きなおそうとすると、瓜泥棒だと思われるかもしれない。

すももの木の下で頭に冠をかぶりなおすと、実を盗んでいると思われるかもしれない。

立派な人は疑われるようなことをするものではない。

 

盗まないのはもちろん、疑われるようなふるまいそのものを戒める言葉です。

むやみに人を疑うことは控えたいですが、逆に疑わしい態度もトラブルのもとです。

怪しまれて損をするのは自分ですから、ギリギリOKなラインを探るのではなく、

「これなら絶対にあやしまれない」

という態度を常日頃からこころがけて欲しいと思います。

 

ずるい

授業中、

「私のクラスは今日宿題なかったんだよ」

「学年が違うので感想文は〇〇くんは2枚、それ以外の子は3枚だよ」

「こないだおばあちゃんにゲーム買ってもらったんだよ」

など、誰かがいい思いをすると、よく

 

「えーどうして!ずるい!!!」

 

という声があがります。

その都度みんなに言って聞かせています。

 

「あのね『ずるい』という言葉の使い方が間違っているよ。

ずるいっていうのは、自分が得をするためにわざと良くないこととかをした時に使う言葉だよ。〇〇くんが何か悪いことした?」

 

「ずるい」という言葉を使うと、不当に利益を得た相手に対する非難や恨みの意味も込められてしまいます。

何も悪いことをしていないのにそんなことを言われたら、せっかくラッキーだった子も気分がよくないですよね。

 

そういうときは

いいな!

うらやましい!!

と言えばいいのです。

いい思いをしてラッキーだったね。

私もやりたかったな。ほしかったな。

そういう気持ちをそのまま伝えてみましょう。

作品の時代を予想しよう

教室では毎回音読を行いますが、読む作品は様々。

今年度は

4月 走れメロス(太宰治)

5月 赤いろうそくと人魚(小川未明)

6月 曽根崎心中(近松門左衛門)

を読みました。

 

読み仮名はついていますが、原文のまま読むので大人でも読みにくい文も扱います。

初めての作品を読むときは、いつも時代予想をしてもらいます。

縄文、弥生、古墳、奈良、平安・・・などが書かれた簡単な年表を見ながら、

「何時代に書かれた作品なのかなー」

と考えるのです。

 

歴史の授業が始まるのは小学6年生からなので、何も知らないうちはみんなあてずっぽうです。

最初はみんなくじびきの感覚で当たった!はずれた!と一喜一憂しています。

 

でも毎月新しい作品について知ることで、徐々に

「前読んだやつより古そうじゃない?」

「作者の写真があるから明治とか大正くらいだと思う」

「待って、この作者の作品読んだことあるよね。確か・・・」

と、持っている知識を使って考えられるようになって行きます。

中には、何年も通っているうちに

「この文の感じは鎌倉っぽくない?」

と、文体や出てくる用語からある程度時代を推理できるようになる子もいます。

 

毎月時代予想をするのは、本文や挿絵からヒントを探し、自分の持っている知識を使いながら物を考える練習です。

知識はただ頭の引き出しにしまっておくものではなく、物を考える材料になるものです。

うまく使いながら、自分だけの発見・自分だけの説が出せるようになってほしいと思います。

 

生理用品を置きました

教室のトイレに自由に使える生理用品を置きました。

 

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授業は1時間だし、正直あまり必要だと思っていませんでした。

でも

急に生理が来てしまったら、授業中ずっとがまんする?

生理が始まっている子とそうでない子がいるお年頃。

みんなのいる前でカバンからゴソゴソ生理用品を出して、トイレに持っていくの嫌じゃない?

と、ようやく思い至り、このようにいたしました。

気がかりなことがある状態でソワソワしながら授業を受けたくないですよね。

 

「誰でも自由に」と書こうと思ったのですが、よく知らない低学年の子たちが面白半分で持って行く可能性もあると思い「こまったら」の一言を書き添えました。

もし「あれなに?」「どういうこと?」と尋ねられれば、事実のまま体の仕組みについてお話しするつもりです。

 

わざわざ全員に「置いたからね!使ってね!」とはお話しませんが、女の子の保護者の方はこういうものがあることをお伝えいただけるとありがたいです。

じっくり入り、あっさり出る教室

2021年度の春から、ゆとり国語教室は開講10年目に入っています。

何年やっていても、新しい生徒さんを迎えるこの時期はドキドキバクバクしていて、ありとあらゆる失敗授業の夢をみます(笑)

そんなドキドキの入塾シーズンにちなんで、今回は教室に入るまでの流れをお話ししたいと思います。

この教室に入塾するにはいくつかのステップがあります。

 

●空席待ちに申し込む

そのまま入れる場合もありますが、最近は満席になることが多いため、ほとんどの方が空席待ちにお名前を入れていただき、空きが出るまで待ってもらいます。

場合によっては半年や一年待っていただく場合もありますから、空いた時点で生徒さんの状況が変わっていればキャンセルしていただいても大丈夫です。

 

●体験授業を受ける

入ろうかなと思ったら、無料体験授業を2回受けていただきます。

体験後、その場で入塾の意志をお尋ねしません

ご家族と検討する時間も必要でしょうし、お子さんが乗り気でなかった場合に私の目の前で「入りたくない」とは言いにくいでしょうから、一度持ち帰った後で入るか見合わせるかのご連絡をいただきます。

入るのをやめてもいいですし、別の曜日が空くまでまた空席待ちをすることもできます。

ここまでの時点で料金は発生しません。

 

●入塾する

入塾を決めた場合、その月の受講料5,000円と、その年の年間維持費8,000円、合計13,000円をお納めいただきます。

年間維持費は一年間に使用するテキスト代や備品、冷暖房などの諸費用を賄うもので、途中でお返しすることはできません。

ただし、やっぱり思っていたのと違う」「通えなさそう」と思った場合、最初の一ヶ月の時点であれば年間維持費(8,000円)はお返しいたします

 

 

教室に入るまでの流れはこんな感じです。

赤い字の部分を見てもらうとわかると思うのですが、何回も何回も

「今なら引き返せるよ!」

という機会を設けています。

決して入ってほしくないわけではないのです。

むしろ「おいでおいで!ぜひ入塾して!!」と思っていることがほとんどなのですが、こんなに何度も「やっぱやめたポイント」を設定するのは、義理や流れで不本意なまま通ってほしくないからです。

 

ちなみに年度末には生徒全員に、

来年度は【退塾する・曜日変更希望・今のクラスで続ける】

という意思確認アンケートを行い、言い出せなくて困ってる人に退塾の意志表示をする機会も作っています。

 

生徒に必要な授業を提供し、正当な対価として授業料を受け取る。

それがこの教室のあり方だと思っています。

ですから不要になった場合はきがねなく退塾してください。

ご家庭でも十分検討して決めたことでしょうから、

「なんでやめるの?」

「もうちょっと通おうよ」

なんてこちらからヤボなことは言いません。

 

じっくり検討して入るかどうか決めて、不要になればあっさり退塾できる。

そういう教室でありたいと思っています。

セリヌンパンチ ~映像化しながら読む~

4月の音読は太宰治の『走れメロス』を読んでいます。

今月特に気を付けてもらっているのは

「頭の中で映像化しながら読む」

ということです。

その訓練として、以下の一文をみんなにジェスチャーで再現してもらいました。

 

セリヌンティウスは、 

すべてを 察した 様子で 首肯(うなず)き、

刑場一ぱいに 鳴り響くほど 音高く

メロスの 右頬を 殴った。

 

ギリギリで間に合ったメロスが、このままでは自分は君と抱擁する資格がないから殴ってくれと頼んだことに対する、セリヌンティウスの反応です。

 

みんな思い思いのセリヌンパンチ(笑)を繰り広げてくれましたが、人によって微妙に動作が違います。

お互いの動作の違いを見ながら、どれがこの場面にふさわしいのか相談してもらいました。

 

うなずきかた

「命がけで戻ってきたところだから、あんまり軽くない方がいいんじゃない?」

「ゆっくり深くうなずく感じ」

「2回くらいやってもいい」

なぐる手の形

「手はパーだと思う。だって刑場いっぱいに鳴り響きそう」

「いや、グーでしょ。パーだったらビンタじゃん」

「殴るだとグーで、叩くだったらパーがいいと思う」

なぐり方

「すごい力入れないと音そんなに鳴らないから、勢いがいる」

「こんな感じ」バシッ!!!

下から上に向かってパンチをした子に対して

「それだとあごにあたるじゃん。ほっぺに当てるから横からいかなきゃ」

 

意外にみんな、いろいろなこだわりポイントがあります。

また、教室でほぼ全員の子が右手でパンチをしていたのですが、話し合いの過程で

 

あれ・・・なんかおかしくない?

 

 

そう、右からのパンチではメロスの左頬を殴ってしまうことに気が付きます。

ちょっと角度を変えて右頬を狙ってみたら音高く鳴る勢いがでない。

じゃあセリヌンパンチは左手なんじゃない??

というところまで考えることができました。

 

左手で殴ったということから、またさらに解釈が広がります。

セリヌンティウスは左利きだったのかな」

「処刑されそうになったから、右手をけがしちゃったのかも」

「メロスが力いっぱい殴れって言ったけど、あんまり痛いとかわいそうだから利き手じゃない方で殴ったんじゃない?」

 

このように言葉を丁寧に拾ってひとつひとつの状況を考えてみると、ただストーリーを追うだけよりもずっと深い読みをすることができます。

生徒たちも謎解きのような感覚で、楽しく内容を考えることができたようです。

 

詩や物語などの文学作品では、作者がこだわりぬいてひとつひとつの表現を選んでいます。

子どもたちにはぜひ、それらに気付けるような良い読み手になってもらえればと思います。

LINE公式アカウントについて

毎月紙のお手紙で休講日などをお知らせしていたのですが、

「どうだったっけ?」

となってしまう方が多い様子だったので、今年度よりLINE公式アカウントを設置しました。

休講日や教室からのお知らせなど、うるさくならない程度に配信して行こうと思います。

よろしければご利用ください。

誰が登録しているかは他の人にはお互いにわかりませんし、返信しなければ私からも登録している人は見えません。

気軽に登録して下さい。

でも、生徒さん以外にはあまり役に立たないと思います。

 
こちらから登録できます。

lin.ee

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