とっても頭の回転が速くて、説明した内容を瞬時に理解できる子がいます。
「これはどうなると思う?」
とわたしが尋ねると、すぐさま答えが返ってきます。
思考力もあるしほんとに賢い子です。
でもそのかわり、猛烈にせっかちさん。
待つことができません。
瞬間的に解けないと嫌になってしまって、すぐに
「これはムリ。違うのやろ!」
と放り出してしまいます。
能力は申し分ないのでちょっと辛抱して考えれば解けるはずなのですが、その「ちょっと辛抱」がその子にとっては大変な苦痛のようです。
「もっとじっくり考えなさい」
「辛抱しなさい」
と言いたいところですが、言われてできるなら苦労しません。
というわけでその子は問題を分解して、小さな達成を繰り返す方式を取り入れることにしました。
たとえばアルファベットを覚えるとき、生徒によっては全部いっぺんにやるのですが、この子は3~4個ずつにします。
作文は1段落書くごとに確認します。
算数の複雑な問題は図にする、式にする、計算をするなど手順で区切って見せてもらいます。
もともとの能力は高いのでたいして悩まずすぐにできます。
「できた!」
「できた!」
「できた!」
と、小さなできたを繰り返して、最終的には複雑な問題や時間のかかる作業を終えることができます。
ここ数回この方式で試してみたところ、いちいち見せるので多少時間はかかりますが、
「あー、やりたくないなー」
「もうムリだよー」
と嘆く分の時間が短縮されて、こちらの方が効率が上がっているようです。
今はわたしが
「ここまでやってもっておいで」
と区切っていますが、いずれは自分で区切れるようになって欲しいと思っています。
全部の作業を自分で区切って進められるようになれば、もう誰も
「こらえしょうがない」
「せっかちだ」
なんて思いませんよね。