ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

話せばわかる

「話せばわかる」

というほど世間は甘くないものです。

でも本当にただ話すだけで解決する問題というのも結構ありますよね。

 

以前見た生徒さんで、とても荒っぽい口の聞き方をする男の子がいました。

まだ低学年でしたが、

「は?そんなんやらん」

「先生の言うとおりになんかしない!」

とやりたくないことを拒否したり、思うようにいかないと

「チッ」

と舌打ちしたり

「なんでそんなことしないかんのや、ボケが!」

などと言ってみたり。

 

お友達と遊ぼうと思っても

「おい、おまえ。このオモチャがほしいか?返してほしかったら『いいよ』って言え!」

なんて脅してみたり。

 

 

でもその都度、

「今のチッていうのは『舌打ち』っていうんだよ?どういうときに舌打ちがでてくる?舌打ちするとすっきりするの?」

「その言い方だと相手がショックをうけるよ。こうやって言ってみたら?」

と、声をかけていったのです。

するとその子は

「お、そうか」

とその場ですぐに改めてくれました。

自分がどんな言葉を発しているのか、それによって相手にどんな影響を与えているか自覚していないだけだったのです。

 

その子はそれはそれは素直な子で、授業中も

「先生のいったとおりにちゃんと気をつけたよ!」

「こういう時はこういうやり方をするんだよね?」

「オレは先生のためにこの字をめちゃめちゃ綺麗に書くんだ!!」

 

なんていつも一生懸命です。

もしかしたら身近にそんな話し方をするお兄さんがいたり、アニメのキャラのまねをしたりしていただけだったのかもしれません。

でもそれで無駄に相手を不愉快にさせたり、本当の気持ちを誤解されてしまってはとてももったいないことですよね。

 

もともとやんちゃキャラなので、礼儀正しい話し方になったりはしませんが、その後も素直さを発揮して、「あ、この言い方はまずいな」と自分で気をつけている場面が見られました。

丁寧に声をかけて本当に正解だったなあと思います。

 

 

子どもは(大人もですが)私たちが当たり前に身に付くものだと思っている常識も、ポロっと取りこぼしている場合があります。

知らないことを責めるのはかわいそうなことですよね。

「あの子は挨拶も全然しない」

「片付けもせずに帰って行く」

なんて陰口をたたくのではなく、一度

「朝あったらおはようっていうんだよ」

「遊び終わったら片付けをして帰るものだよ」

と声をかけてみてほしいなあと思います。

案外

「あ、そうか」

と、すぐに改めてくれるかもしれません。