前に音読で高村光太郎の『智恵子抄』におさめられている「レモン哀歌」を読みました。
高村光太郎の妻である智恵子は、長く精神を病んだ末、肺結核で亡くなります。
レモン哀歌はその死の瞬間を描いた詩です。
作品の背景や言葉の意味をあえて説明せずに
「どういう状況の詩だと思う?」
と尋ねたところ、ある子が
「ん-、どっちが殺したのかな・・・」
と言うのでびっくりしてしまいました。
もう少し詳しく話を聞いてみると、
相手を殺してレモンを奪ったんだけど、それをかじった時に頭がまともに戻って、
「なんてことをしてしまったんだ!!」
って後悔して泣いてるところ。
と。
意外すぎる読みに、これは自分の想像で話を作ってしまったのかなとも思ったのですが、どこからそう考えたのかを尋ねると、実はきちんと本文の言葉に注目して読んでくれていました。
死の床→誰かが亡くなった
私の手からとった→レモンを取った(奪った)
意識を正常にした→我に返った
青く澄んだ目→涙の色
と捉えて、そこから自分なりに解釈したそうです。
まだ低学年クラスなので拾い読みになって文全体の解釈が粗くなっていますが、文中の語を根拠に考えようとしているところがとても良いです。
物語や詩などの文学的文章は、書かれていない部分を読み取るのが難しく、慣れていないと完全に自分の想像だけで内容をとらえようとします。
しかし、こういう根拠のある読み方ができる子は、読解の精度が上がるにつれて解釈もどんどん上達して行くと思います。
突然の殺人事件にびっくりしてしまいましたが、今後の成長が楽しみだなと感じさせてくれる解釈でした。