ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

ネガティブ作文

最近教室ではネガティブ作文に取り組んでもらっています。

名前のとおり、嫌い、やりたくない、やめてほしい・・・というマイナスな気持ちを書く作文です。

先週は自分が「できればこの世からなくなってほしいと思う嫌いな人・物・出来事」について、嫌いな理由と、どうなったらそれが嫌いじゃなくなるのかを添えて文にしてもらいました。

今週は「将来やりたくない職業」を書いてもらっています。

 

学校などで書く作文のほとんどは、いいことばかりです。

好きなこと、楽しかった思い出、将来の夢・・・。

でも人間の感情ってそんないいことばかりじゃないですよね。

嫌いなものは嫌い。

思ってしまうものは仕方がないことです。

でもいいことばかり出力しているうちに、自分のマイナスな気持ちにふたをして本心が言えなくなる子もいます。

ただ「あいつウザイ」「これ最悪!」と言うだけではただの愚痴ですが、丁寧にその嫌いのもとを考えていくと、案外「じゃあこうすればいいんだ」なんて解決策が浮かんだりするものです。

多感なこの時期に自分のマイナス部分にきちんと向かい合うことは、前向きに生きてゆくためにもとても大切なことだと思います。

 

また、いい話はちょっとくらい言葉が拙くてもうまく伝わりますが、悪い話を角が立たないように人に伝えるにはかなりの国語力が必要です。

親切でプレゼントしてくれるいつものお菓子が口に合わない、相手の洋服が似合っていない、手伝ってくれてるけどかえって邪魔、相手が猛烈にオススメしてくれる商品を断りたい。

話をあわせて我慢していては自分がつらいだけ、でもそのまま言って相手の気分を損ねたらトラブルの原因にもなります。

高学年クラスではできればこういうマイナスの気持ちを、どうやって柔らかく相手に伝えるのかも一緒に考えて行きたいと思います。

 

ネガティブなお題を出すと、いつも気取った文章を書いてる子たちも個性的なおもしろい作文を書いてきてくれるので、読んでいる私もとても楽しいです。

その子のことが、またさらによくわかった気がします。

大人はつい子供たちに望ましい気持ちばかり求めがちですが、たまにはこういうマイナスな気持ちをゆっくり話し合ってみるのもいいかもしれませんね。

学習方法などの紹介

このブログには教室の様子や生徒たちの発言など、様々なことを書いています。

でも

「なにか役立つ話はないかな」

「いい勉強方法はないかな」

と情報を求めて来られる方もわりといらっしゃるようです。

 

というわけで、「学習方法などの紹介」というカテゴリーを増やしました。

右はしのカテゴリー一覧から選んでくださいませ。

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「こういう本がおすすめだよ」

「こんな勉強方法があるよ」

という内容の記事を集めておきました。

よかったらご家庭で役立ててくださいませ。

先生のノート

生徒たちには

「習ったことを後から確認できるように、自分でメモしておくんだよ」

と、自主的にノートを取るように指導していますが、私も毎回の授業で必ずノートをとっています。

今日はそれをお見せしようかと思います。

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ある日の授業ノート。

 

授業1回につき、ルーズリーフ1枚を使います。

右肩にクラスや日付、上部にその授業を受けた生徒氏名をフルネームで書いておきます。

後は全体授業でやったことや話した内容、全員の生徒のその日の状況など気がついたことはなんでも書きとめておきます。 

一ヶ月たつと、1クラスで4枚のルーズリーフがたまります。

これをぺらぺらめくりながら

「今月この子はこんな勉強をしましたよ」

「こういう問題が解けるようになりましたよ」

「まだここが弱いのでこんなふうに練習をすすめています」

と一人一人の保護者に向けて報告のお手紙を書いています。

全員の授業での様子をすべて記憶することは私にはできないので、このノートがないとお手紙もかけません。

 

生徒たちのちょっとした発言、なにげない行動も、こういう小さな記録を積み重ねることで、大きな傾向がつかめてきます。

これを繰り返すことで

「この子はこういう勉強方法がいいかな」

「こっちの問題集の方が効果的だな」

と判断しているわけです。

少しでも生徒たちのデータを蓄積して効果的にメニューを組むために、ノートはとても大事な役割を担っています。

 

小さな情報をうまく積み重ねていく、これは勉強する時も大切ですよね。

記録上手になって、少しでもたくさんのものを自分の中に吸収して行きましょう。

自分に合った勉強方法を知る

話をしっかりと聞き、指示に従い、出された課題はきちんとこなす。

こういう「教えられ上手」さんは、いい塾やいい先生につけばどんどん伸びることが出来ます。

ただ、このタイプの子はいい塾や先生に出会えないと伸びない・・・という落とし穴があったりします。

誰かにあれをしなさい、これをしなさいと指示をしてもらわないと勉強ができないのです。

 

とはいえ、自分にぴったり合った指導をしてくれる人を探すのってかなり大変です。

どんなに評判がよくても相性が悪いこともあるし、いいところを見つけても遠方だったり時間が合わなかったり・・・。

たまたまいい指導者にめぐりあえたとしても、小学校から中学校、高校へとステージがかわったときに、同じ人に教えてもらえるとは限りません。

また、社会人になったときに仕事を学ぼうと思っても、上司や先輩が上手に教えてくれる恵まれた職場というのはおそらくとても少ないと思います。

 

結局はどこかの段階で自分で学ぶ力が必要になってくるのです。

 

教室では高学年の子たちにはできるだけ学習方法を自分で考える練習をさせます。

たとえば以前来ていた子で、一生懸命勉強して理解した内容を一週間ですっかり忘れてしまう子がいたのですが、

「どうしたらいいと思う?」

と尋ねると、

「もっとがんばって覚える」

と答えました。

この「もっとがんばる」はくせものです。

がんばると言った瞬間にその子の思考は停止してしまいます。

必要なのは気合ややる気ではなくて、具体策です。

結局この子はあれこれ話し合った末、

「自分は人よりも忘れやすいので、そのぶんノートを充実させて自分で思い出せるようにする」

ということを心がけるようにし、この教室の勉強だけでなく学校の授業の聞き方もそれでずいぶん変わったという話をききました。

 

気が短くて集中力が持続しない子なら目標を小分けに設定する、耳から入る情報の方が理解しやすい子なら教科書はなるべく音読して耳で聞く、人に話したほうが理解ができる子はなるべくいろんな子に教えてあげるようにするなど、自分に合った方法を知っていると、何を学ぶときにも役に立ちます。

 

私が生徒たちに一生

「あなたはこれをやりなさい」「こうしなさい」

といい続けられるわけではありません。

「先生、次なにをすればいい?」

「どうやったら点数上がる?」

と人に聞くのではなく、自分に出来ていることはなにか、足りないところはどこか、何をすれば自分は伸びそうなのかを分析できるようになってほしいなあと思っています。

 

「ゆとり国語教室があれば安心」

とずっと通ってもらえるのはとてもうれしいことですが、もっと嬉しいのは

「もうゆとり国語教室はいらなくなりました」

と巣立って行くこと。

教室のホームページにも「塾に頼らず、自分で学べる子を育てます」と掲げてあります↓

 

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通ってくださっている生徒さんたちも「いつかはひとり立ちするのだ」という意識を持ってもらえるとありがたいです。

作文・スピーチ~量を調節する~

枚数指定のある作文を書いているとき、まとめまで一気に書き上げてから

「しまった、まるまる1枚あまっちゃった!!あと何かこう!!!」

ってこと、ありますよね。

反対にオーバーしそうになって、肝心のクライマックス部分を大幅に省略することになったり。

今回はそうならないように、最初からある程度枚数ぴったりに書き上げる方法です。

 

まずは設計図を作ります。

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私はふだんはもっとざっくり書いていますが、初心者ほど細かく書いておいたほうがいいと思います。

これを見ながら最後まで口で内容を話せればOKです。

全体の流れが決まったら、だいたいでいいので真ん中をきめます。

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このあたりかなー。

きっかけ部分であまり話題がなければ、もう少し下の方が真ん中になります。

でもまあ適当です(笑)

 

真ん中を決めたらそれを目安にどこで何枚書くか決めます。

2枚なら真ん中ラインあたりで次のページにいく計算だし、3枚書くなら真ん中ラインは1.5枚の場所になるので、それをめやすに適当に配分します。

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あとはこれを頼りに書いてゆくだけです。

1つの話題をどのくらい詳しく書くかによって長さがかわってきます。

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 設計図は左端におおまかな内容、右へゆくほど細かい話を書いておきます。

また、同じ話題の中では上から順に優先度の高いエピソードを並べてあります。

 

短く書くならおおまかな流れだけで進めていって、細かい話はどんどんカットしていけばいいし、優先順位の低いエピソードはまったく使わない場合もあります。

長くしたいなら細かい内容や体験談などすべて具体例も詳しく書きます。

こうしてだいたい自分が決めたとおりの枚数で進められているか確認しながら書いていきます。

決めた枚数はめやすなので、絶対の決まりというわけではないのではありません。

さっきのところで足りなかったから、次の話題で多めに書いておこう・・・くらいなやり方でOKです。

こうして進めてゆくと細かい調整がきくので、書き終わってから大幅に足りない、オーバーしてしまうということはほとんどなくなります。

 

作文に限らず、時間が決まっているプレゼンやスピーチなどでも同じやり方ができます。

私はまとまった時間話をするときは、この設計図だけを持っていき、時間や相手の様子をみながら

「まだ時間があまってるからこっちの話も採用しよう」

「ちょっとゆっくり話しすぎちゃったからこの話題はカット」

「聞き手の反応がいいからこの話題は丁寧にしよう」

と、その場で調整して話をします。

読み原稿をつくってしまうと融通がききにくくなるので、この方が私は楽なのです。

 

最初はちょっと面倒かもしれませんが、身に着けておくと何かと楽な方法なので、ぜひ練習してみてくださいね。

隠れたひっかかりどころ

先日保護者の方から

「うちの子は算数の長さと時計が苦手で、何回説明しても理解できないんです」

とご相談をいただきました。

ちょうどもう一人、同じように長さと時計でつまずいているという子がいたので、フリータイムで一緒に取り組んでみました。

 

確かに二人とも苦戦していて、

「1時42分の30分後」といわれると「2時72分」「12時12分」などと答えます。

「5cm4mm+6cm9mm」という問題には「24cm」と答えることもあります。

二人とも何度も教わっているので、「1分は60秒」「1cmは10mm」ということはわかっていますが、どうしても正解にたどりつけません。

みなさん、なぜこんな答えが出てくるのか、わかりますか?

ピーンときちゃいましたよ、わたし。

 

そこで私が次の授業で用意したのはコチラ。

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ご家庭用の綿棒です。

10本ずつ輪ゴムで束にしてあります。

ここでひたすら綿棒をつかって計算の特訓をしてもらいました。

25+31は?と尋ねたら、束ねた綿棒5つとバラの綿棒6本を並べます。

計算の途中で10本になったら、すぐに輪ゴムでとめて束の仲間に加えます。

引き算で足りなかったら、束を解いてそこから引きます。

これを何度も何度も繰り返しました。

何を練習したのかというと、10の位の数字と1の位の数字の量の違いを、視覚的に掴んでもらったわけです。

 

なまじ計算を暗記して解けるようになった子は、数字の量をあまり意識していない子が多いです。

たとえば「26」という数字を見ても、「2」の方が表す量が多いということがピンときていません。

ただ学校で習ったとおりに繰上がりや繰下がりをやって偶然答えを出し続けているわけです。

 

こういう子が長さや時間にとりくんだとき、60分になったからといって時間が1個しか増えないのはわけがわかりません。

mmの数字が集まってcmの仲間に入るという感覚も、どうしても理解できません。

さきほどの問題に答えた子たちは、1の位も10の位も100の位も、時間も分もcmもmmも、全部同列の数字として捉えていたのです。

 

さきほどの問題も、60分になったら時間をひとつ増やすはずのところを、繰上りの時と混乱して10増やしたりしてるわけです。

mmを足し算したら13mmになって、10mmこえたらcmの数が増えるからといって11cm+13mm=24cmなんてことをしてたわけです。

全く正解ではない答えにも、勘違いしたその子なりの道筋というものがあり、それをみつけるのが正しく導く近道になります。

 

さんざん綿棒の輪ゴムをとめたりはずしたりした二人は、10の位は10コセットの束を数えているのだという感覚をしっかり身につけてくれました。

それから今度は長さと時間の説明をします。

 

時間は60本セットで輪ゴムでとめるんだよ。

cmはmmの10本セットだよ。

 

もうこれだけですぐに理解できました。

セットになったら束がひとつ増える。

減らすときに足りなければ束をひとつほどく。

きちんとイメージできているので、あっという間でした。

 

まだ定着するまでにもう少し練習は必要だとは思いますが、あとは問題数をこなせば難なく解けるようになると思います。

保護者の方からも

「できるようになってました!!あんなにやってもできなかったのにスゴイ!」

と喜びの声をいただきました。

たくさんやってもできなかったのは、そもそも引っかかりどころが別の場所にあったから仕方なかったんです。

 

本来は繰上りや繰下りの段階でもっと間違えているべき子どもたちが、なんとなく暗記や反復の慣れで、理解していないのに正解を出してしまうことがよくあります。

なまじマルがもらえるから発見が遅れてかなりやっかいです。

そのときはよくても、こうして別の単元や応用問題で思わぬつまずきをみせることになります。

マルをもらっていても、本当に正解するべくして正解しているのか、たまに解き方をチェックしてあげてくださいね。

清書と下書きの書きかた

汚くていいからスピード重視

 

下書きを始める前に子どもたちに言っていることです。

下書きって、文を考えながら書くのでとても頭を使います。

「こういう文を書こう」

と思って書き始めても、手がおいつくまえに書こうと思っていた文が掻き消えてしまう子が結構居るのです。

特に真面目な子に多いです。

 

一字一字綺麗に書こうとしたり、句読点の位置はこっちがいいかな、あっちがいいかなと考えたり、この漢字ならったはずだけどどうやって書くんだっけ?と調べてみたり。

そういうことをやっている間に考えていた内容が頭からどんどん逃げていき、前に書いたことが記憶から消え、前後がうまく繋がらない文になってしまうのです。

 

下書きのときは基本的に手をとめてはいけません。

できるだけ思った速さで書き留めていきましょう。

人に見せる清書と違って、下書きは自分が文の状態を見るための途中過程です。

自分に読める字であれば字が汚くても誤字があっても全く問題ないのです。

原稿用紙の使い方があっているか確認したり、句読点の位置を検討するのは、ざっと下書きを書いてからゆっくりすればいいのです。

調べておきたい漢字にはマルでもつけておいて、まとめて辞書を引いた方が楽ですよね。

 

同じ理由で下書きの時の消しゴムも禁止しています。

間違えたらすぐに鉛筆でバツをつけて、その横に書きなおします。

大幅に間違えたら無理にいじらず、これも大きなバツをつけて新しく書き直します。

鉛筆と消しゴムを持ち替えたり、消して戻るという行為をすると、頭の中も逆戻りして雑念が入るため、文が乱れやすいのです。

部分的になおすよりも潔くボツにして、新たに書き直すほうが精神的にも楽です。

 

いつもきちんと書いている子はどうしても

「こんなことしていいの?」

「綺麗に書かなくていいの?」

と心配になるかもしれません。

清書は人に見せるためのものですから、人に見やすいように綺麗に正確に書く事が大切です。

でも下書きはこれからいいものを作り上げるための途中過程です。

自分にさえわかればそれでいいのです。

 

目的によって取り組み方というのは大きく変わります。

今必要なのは美しさなのか、スピードなのか。

そう考えれば書き方も変わって来るのではないでしょうか。

 

清書の書き方と下書きの書き方、うまく使い分けてほしいなと思います。