ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

感想文指導方法(保護者向け)

まもなく夏休み。

教室の生徒たちは読書感想文に取り掛かり始めました。

私が見る子たちは最後の清書以外は一緒にやる予定です。

せっかくなので、親子で感想文に取り組まれる方のために、私の感想文指導方法についてお話しますね。

 

本を読んだらいきなり原稿用紙に書きはじめる人が結構多いのですが、私の場合はまずはおしゃべりをします。

おしゃべりというか、インタビューですね。

「この本どうだった?おもしろかった?」

「へー、どういうところでそう思ったの?具体的に教えてよ」

「もしも自分だったらどう思う?」

「おかしいって思うんだったら普通はどうなの?」

「自分の身の回りにも同じような人いる?」

最初は「おもしろい」「ためになる」というひとこと感想しか出なくても、会話を重ねるごとにだんだん内容が厚みを増してきます。

私はそれをせっせとメモします。

 

作文のテーマ、つまり何を伝える文にするかを一緒に決めて、そのために使うエピソードを選びます。

最初に何を書く?次はどうしよう?最後はどうやって終わる?

そうやって出てきた話を並べ替えて、全体の構成をきめて、設計図をつくります。

私と生徒でお互い納得がいったら、ここではじめて原稿用紙を出します。

 

あとは設計図に沿って書いてゆくだけ。

なるべく1段落ごとに見せてもらいます。

全部書き終わってから赤を入れてもう一回書く・・・となると、子どもが疲れてしまいますから。

設計図をたよりに

「この話、もうちょっと詳しくして、文量増やしたほうがいいんじゃない?」

「この部分、こういうことが言いたかったはずだけど、次の段落の内容が混ざっちゃってない?」

と、声をかけます。

文法的な間違いもここで指摘します。

途中途中で直しながら書いてゆくので、最後までたどりつけばそれでほぼ完成になります。

全部書いて全部もう一度やり直すということをしなくてもいいので、子どもの負担も少なくて済みます。

 

子どもの作文指導で大変なのは、書いたものを読んでも何をいいたいのかさっぱりわからないということ。

でもこのやり方だと、事前に会話である程度内容がわかっているので、大幅に話がずれることもなくて指導する側もされる側も楽だと思います。

 

 

家を建て始めてからぶわーっとダメだしして直そうとするとおおごとだけど、打ち合わせ段階でコンセプトや設計図をきちんと詰めておけば楽ですよね。

感想文指導の一番の鍵は「事前打ち合わせ」だと思います。

よかったら試してみてくださいね。

8月の新規入塾生の受け入れを停止します

お知らせです。
ゆとり国語教室では、8月のみ、新規入塾生の受け入れを停止いたします。

ここ数ヶ月で新しい生徒さんがガバっと増えました。
ありがたいことではありますが、新しい生徒さんが入ってからしばらくの間はとてもとても神経を使います。
その子の傾向をさぐったり、どんな学習方法がいいのか考えたり、クラス内でのバランスを考えたり、使う問題集を選んだり・・・。

これまでは一ヶ月に1人増えるか増えないかのペースでやってきたのですが、ここ数ヶ月、生徒増加のペースが早くて全生徒の状況把握に苦戦しております。
通ってきてくださっている生徒さんは私にとって特別な子どもたちなので、指導の質を落とさないようにしたいのです。
そこで一ヶ月様子を見て、今いる子たちの指導方針を立てる時間をいただきたいと思います。

今後入塾を検討してくださっている方、席数にまだ空きはあるので、9月以降にまたお待ちしております。

教えていると腹が立つ

母として、講師として、いろんなママやパパと子どもの話をする機会があるのですが、

「自分で勉強を教えているとすぐ腹が立ってしまう」

「イライラしてつい大声をだしてしまう」

という声をほんとうによく聞きます。

どこのおうちでも、心穏やかに教えるというのはなかなか難しいことのようです。

 

しかし、実は私自身は「誰かに教えていて腹が立った」という記憶がここ数年ほとんどないのです。

普段の生活の中では、理不尽にわが子を怒鳴りつけて後悔する・・・なんてこともしょっちゅうなので、別に私が特別な慈愛の精神を持ち合わせているわけではありません。

学習指導の時だけは、相手がどんなにできなくても全くと言っていいほど腹が立たないのです。

 

いったいどこに違いがあるのかとあれこれ考えてみたのですが、どうも一番の理由は子どもに向き合うときのスタンスにあるような気がします。

私の職業は塾講師。

学習について困っている子を、できるようにするのが仕事です。

だから何かしら「できていないことがある」のが当たり前の状態で子どもに向かいます。

正直なにも問題ない子をみると「私の仕事がない・・・」とちょっとあせってしまうくらいです。

 

一方、親が子どもの勉強を見るときは、基本的に「できていること」が前提になります。

何事もなく理解できていれば「よし、大丈夫だな」と安心することができますが、わからない・解けないとなると緊急事態。

 早く何とかしなければ!と考えます。

この「心配」「焦り」が怒りの気持のもとになるのではないかと思うのです。

お子さんに指導する際には、「このくらいはできていて当たり前」から、「どこかできないところがあって当たり前」というスタンスに切り替えてのぞむと、少し気持が楽になるかもしれません。

 

また、今すぐに何とかしようとすると

「これでわからないなら、一体どうすればいいのよ!?」

と、「わからせ方がわからないこと」に対する怒りが湧き起こりがちです。

健康診断と治療は分けて考えることをおすすめします。

アドバイスしてもすぐ理解が出来なさそうな場合は、大手術や段階的な治療が必要な可能性があります。

「なるほど、こういう問題が弱いんだな」

「このあたりの理解が浅いんだな」

と、詰まっているポイントや原因を探るところまででいったん引いてみて、改めて対策を練る方が、教える方にも教わる方にも余裕ができると思います。

 

「怒り」の気持は直接の原因だけでなく、その日の体調や悩み事などによっても引き起こされるので、なかなかコントロールが難しいものです。

でも気持の持ち方や方法を工夫するだけで楽になる場合もあるので、よかったら試してみてくださいね。

図形の感覚を養う『点描写』

 国語とはあまり関係がないのですが、前回紹介した「どっかい算」と同じシリーズで、気に入っている問題集の紹介です。

点描写(立方体など) (思考の算数練習帳シリーズ)

点描写(立方体など) (思考の算数練習帳シリーズ)

 

 これは図形の感覚を養うための一冊。

中身は

f:id:rorran:20140526212701j:plain

こんな感じです。

上の図と同じものをまねっこして描く。

ただその繰り返しです。

私の娘が平面に書かれた図形を認識するのが苦手なようなので、その訓練にちょうどいいなあと思って購入しました。

「宿題と一緒に一日ひとつやりなさい」

と言って渡してあります。

 

 

前回のどっかい算や今回の点描写に限らず、他にも機会があればオススメの問題集などを今後も紹介して行こうと思います。

でも、紹介された問題集を

「よし、ぜんぶやろう」

とは思わないでください。

こういうものはサプリメントと同じです。

足りない分を補うために使うのであって、一番の基本は毎日の生活や学習です。

全ての栄養素をサプリメントに頼らずに、まずはふだんの食事でできるだけ効率よく栄養がとれるように考えるのが大切です。

 

それに、いくら世の中に優れた問題集や参考書があふれていても、お子さんが取り組める量は限られています。

その子の特徴や性格をよく考えて「選ぶ」という行為をぜひしてほしいなあと思います。

読解力が必要な文章問題

算数の文章問題を解くのにも読解力が必要です。

問われている内容に対して、どの情報を使うのか判断し、適切に式を立てなくてはいけません。

きちんと読み解けていない子は数字だけ拾って足したり引いたりするので、すぐに

「なに算をするの??」

と聞いてきます。

これを改善させるためには、きちんと読まないと解けない問題をいくつも練習する必要があります。

でもこれが意外に難しいのです。

出回っている算数の問題集はほとんどが単元別になっていて、足し算の単元では足し算の問題ばかり、引き算の単元では引き算ばかり。

読解力のない生徒でも

「今は引き算をやっているから引けばいいんだ」

と考えて、ササッと式をたてて正解してしまいます。

 

それで最初のころは私が自作の問題をいくつも作って生徒に解かせていました。

でもこのごろはちょうどいい本を見つけたので、必要に応じて何人かの生徒に取り組んでもらっています。

どっかい算・四則計算のみで解ける難しい文章題 (思考の算数練習帳シリーズ)

どっかい算・四則計算のみで解ける難しい文章題 (思考の算数練習帳シリーズ)

 

 どっかい算。

その名の通り、算数の問題の読解力を鍛えるための問題集です。

この問題には無駄な情報がたくさん混ぜ込んであります。

たとえば最初の一問は

 

公園で5人が遊んでいます。そこに4年生の3人の友達がやってきました。さて、今公園で遊んでいるのは何人でしょうか。

 

という問題。

普通に文を読んで解いている子には何ということのない問題ですが、数字をただ拾って式をたてるタイプの子には、「4年生」の「4」という数字が混ざりこむだけで難しくなります。

 

問題はどんどん複雑になっていきます。

買おうと思った商品が高かったからやっぱりやめてみたり、チョコやクッキー、飴玉の値段や重さを説明しておいて、チョコの個数しか尋ねなかったり。

 最終的には

f:id:rorran:20140523211323j:plain

こんな長文の問題が出題されます。

どれも問題自体はシンプルで、四則計算のみで解けるものばかり。

必要な情報と不要な情報をきちんと整理する力があれば特別な技術はいりません。

 

1冊の値段もお手ごろですから、もし

「計算はできるけれど文章題が・・・」

とお悩みのお子さんがいらしたら挑戦してみるのもいいかもしれません。

 

文の意味をじっくり考えて解く必要があるので、一度に大量にやらせないで、少しずつ解き進めるのがおすすめです。

グチャグチャ遊び~子どものお片づけ~

f:id:rorran:20140426173716j:plain

お恥ずかしながら、ある日のうちの子ども部屋です。

子どもって遊び始めるとものすごい勢いで散らかしますよね。

あっちのおもちゃを出していたかと思えば、こっちの絵本を引っ張り出し、絵を描いていたはずなのに、気が付いたら粘土遊び・・・。

あっという間に部屋はぐちゃぐちゃ。

そこで言いたくなるのは

 

次の遊びをするなら前のおもちゃを片付けなさい!

 

上手に作業する人は、片付けながら進めていきますよね。

料理しながら洗い物も同時進行、仕事をひとつ済ませるごとにファイリング、作業がひとつ進むごとにきちんと片付けて行くから、終わったあとはいつもきれい。

子どももそうやって遊んでくれれば良いのに・・・と。

 

でも私は、小さな子は最終的にきちんと片付けられるのであれば、途中はグチャグチャでかまわないと思っています。

1つ済んだらしまって次というやり方は、とても効率が良いように思いますが、子どもにとって遊びはひとつながりのもの。

1つも済んでなんかいないのです。

遊びはそんなふうに区切れるものではありません。

興味のままに出してきて、夢中になって、また戻ってきて、それを繰り返しているのです。

 

それに種類の違うオモチャを組み合わせて新しい遊びを作る・・・なんてことは、整然と片付けられた状態からはなかなか生まれにくいものです。

この人形、ここに入るかな?

この銃の先にこっちのオモチャつけたらかっこいい!

このトランプ、お店屋さんごっこのお金にしよう。

毛糸でふたつ繋げちゃった!

同じオモチャが時には武器になり、時には飾りになり、時にはおもりになり・・・これって子どもにとって大事な訓練だと思うのです。

 

たとえば学校で習った計算方法や公式を、ただ教わったやり方だけではなく、組み合わせたりちょっと形をかえることで違うものにも使えるようにする。

生活のノウハウを仕事で役立てる。

グチャグチャ遊びはそんな応用力、発想力を育てているように思います。

 

もちろんいつまでもグチャグチャ遊びだけでは生活に支障が出てきますし、アイデアをすっきり整理することも大切です。

でも、まだ学年が低くて「遊ぶことが学ぶこと」という時期なら、

「○時になったら全部片付ける」

「一日の終わりには綺麗にする」

というくらいのゆるいルールで、グチャグチャを容認してあげてもいいのではないかと思います。

ヨーでる本うつし

手が文字を書きなれているということはとても大切です。

たとえばいつも書いているような日記や手紙とまったく同じ文章を、カタカナやローマ字で書きなさいといわれたら、結構大変だと思いませんか?

思い浮かんだ文をサラサラと手が書きとめてくれないと、浮かんだ文章は頭の中で散り散りになってしまいます。

作文がうまくなるためには文の書き方だけではなく、出力のためのツールを磨くことも大切なのです。

 

そこで、特に低学年の子たちには本写しをよくしてもらっています。

見た文章をそのまま正確にすばやく書き写す。

書くことの訓練にはもってこいの方法です。

 

ただこの作業はとても単調なので、苦痛に感じやすいのが難点です。

なかなか正確にかけず、だんだん悲しくなってくる子もいます。

そこで少しでも楽しくこの作業ができるようにと、用意したのがこちら。

f:id:rorran:20140508170825j:plain妖怪体操第一。

 

いま小学生の間で大人気の妖怪ウォッチの歌です。

生徒もみんな知っているので、自分の書いた歌詞を見ながら歌うことで答え合わせをします。

この作業をすることで、「読める字を書く」ということも意識できるようになります。

 

実際やってみると効果抜群!

いやいや写していた子も目を輝かせて取り組んでくれました。

テレビでは流れない2番3番の歌詞がついているのもうれしかったです。

 

書く練習のためにすきな番組の主題歌を写す。

おすすめです!