教えるという職業は、材料費がいるわけでもないので値段を決めにくい仕事です。
私はふだん、身近な人たちから
「この問題ってどう解くの?」
と聞かれれば答えますし、
「こういうときどうしたらいいかわからない」
と言われたらわかる範囲でアドバイスします。
そこに料金は発生しません。
じゃあ教室の生徒たちはいったい何に対してお月謝を支払ってるの?
と、考える人がいても当然だと思います。
国語教室でいただいているお月謝は、一人5,000円です。
単純に計算すると授業1回は1250円・・・と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな単純なものでもないのです。
授業料のほとんどは、一ヶ月単位でその子を観察して方針をたて、その子にあわせたメニューを考えて提供するための技術料・手数料としていただいています。
私にとって、お月謝を払って毎週足を運んできてくれる教室の生徒たちは「特別な子供」です。
日常生活では
「あの子に合ったメニューをどうやって組もう」
「どうしたら興味を引けるだろう」
と考えるし、書店にいけば
「この問題集はあの子によさそうだ」
と考えます。
その子専用の問題を作って用意することもあります。
一ヶ月たったらこれまでの様子から、次の指導方針をたてて保護者の方に報告書を出します。
正直4回授業でも5回授業でも、その手間はほとんどかわらないのです。
体験の生徒さんは一緒に参加することはできるけれど、あくまで他の子たちのためのメニューに相乗りしているだけの状態です。
その子用に何か提供するわけでもないし、今後その子のためにあれこれ心を砕くこともありません。
体験授業の受講料をいただいていないのはそういうわけなのです。
ただあまり頻繁に体験の子が出入りすると、その分うちの生徒たちに目が届かなくなる可能性があるので回数制限をもうけています。
今後も体験希望者があまり多いようなら何らかの制限を設けようかと思ってはいますが、とりあえずは「年2回までなら体験無料」でおこなっています。
この教室に入ってもらうということは、
「その子を特別な子として扱い、将来を見据えて真剣にどうやって伸ばすか考える」
という約束をするということでもあります。
「1回授業を受けたり、問題の解き方を教えてもらうのとは違う」ということを知っていてもらえるとうれしいなと思います。