みなさんが普段書き慣れている文字。
左手や足を使って書きなさいと言われたら、いつもと同じように綺麗にかけますか?
たぶんいつもと勝手がちがってしまい、字形が乱れたり書き間違えたりするのではないでしょうか?
普段ローマ字入力をしている人が、かな入力で作文をかかなくちゃいけなくなった時。
思ったようにスラスラ文が綴れますか?
スピードが落ちるのはもちろんですが、文章そのものも、うまくまとまらなくなったりするのではないかと思います。
鉛筆を握り始めた子たちも同じです。
わたしたち大人が思っている以上に「鉛筆で描く」ということに苦労しています。
字の形や書き順がわかっていても、「鉛筆を使って書く」という行為自体に子どもたちはまだ不慣れなのです。
指で空中に正確に文字が書ける子でも、鉛筆をもたせると鏡文字になったり書き順を間違えたりすることがあります。
鉛筆という道具に意識が集中しているから、他の部分がおろそかになるのです。
こんなふうに何かを新しく始めようとするとき、一時的にこれまでできていたことができなくなることがありますが、それは次のステップに進みはじめた証拠です。
決して後退しているわけではないので、
「何が新しく加わるのかな?」
とよく観察して、暖かく見守ってあげてくださいね。
さて、そんな「鉛筆を持ち始めた子」のためにうちの教室でおこなっている練習です。
方眼ノートのマス目にぴったり、4箇所できちんと接するような円をひたすら描きます。
鉛筆の持ち方がおかしい子は持ち方にも気をつけて。
時間を測って何個かけるか競ったり、あらかじめ描く数を決めて時間を競ったりします。
描き終わったら一番綺麗なベストオブまんまるを決めて、選ばれたまるにお花や王冠マークをつけます。
慣れていない子はちゃんとマス目の線に接することができなかったり、まるを描きたいのに角ばった形になってしまいますが、繰り返すうちに濃いしっかりした線でぴったりの円をかけるようになります。
こんなふうに「鉛筆で思った通りの線」をかけるようになれば、お手本の字をみてきちんと真似ることができますよ。
ただの円なので、覚えかけの文字の形や書き順を気にせず、自分の線が思い通りにかけているかどうかに集中できます。
上手にかけるようになったら描く円を大きくしてみたり、マス目のない真っ白な紙に綺麗で大きさのそろったまるを描くようにするとさらにステップアップできます。
教室の1年生たちはみんなこの練習を気に入ってくれて
「先生、はやくマルかこうよ!」
と言っています。
短時間で特別な道具もいらない練習方法なので、ぜひおうちでもやってみてくださいね。
できれば保護者や兄弟で楽しんでやれるといいですね。