以前、授業で読んだ文章に、物の値段の決まり方について書かれたものがあり、それをきっかけにこの教室の授業料についての話になりました。
・原材料があるわけではないから、あまり高額にするつもりはない
・長く続けて色々な子を伸ばしたいから、自分に負担がかかりすぎる値段設定はしない
・家族に我慢をしてもらう部分も多いから、その穴埋めができる金額でなくてはいけない
・安くしすぎるとなんとなくで通わせる人が出てくる
・今払ってくれている人に失礼になるから、仲良しの子でも値引きはしない
などなど、ふだんは話さないような教室のウラ事情を生徒たちにはなしました。
生徒たちの反応がとてもおもしろかったので、会話の一部をここに書いておきます。
「えー、塾って何もお金払わなくてもできるじゃん?
いいな、すごいもうかる!!」
「そうだね、いいなと思ったら将来やったらいいんじゃない?でも教えられるようになるまでは勉強がんばらないとね。」
「勉強できれば塾の先生やれるの?」
「やることはできるけど、それで生活できるかどうかはわからないよ。お金払ってもここで習いたいと思ってもらわないといけないから。」
などなど、子どもたちの反応は様々。
中でもおもしろかったのは、
「先生、俺たちが払ったお金をまさか家のことにつかったりしてないよね?」
「つかってるに決まってるじゃん。おいしいもの食べに行ったりしてるよ。」
「ええっ、ずるい!!」
「だってこれが先生の仕事だよ。君たちのお父さんやお母さんが仕事でかせいだお金は家のことに使ってないの?」
「あ、そうか。」
この子のように、私がいただいているお月謝と、自分の親が働いて稼ぐお給料が同じものであるということを認識していなかった生徒が大勢いました。
払ったお金はすべて何かしら教室運営のために使われていると思っていたようです。
もちろん教室のために使う部分もありますが、仕事である以上は収入も見込んであります。
子どもたちはまだとても狭い世界の中にいます。
塾や学校は勉強を習いに行くところ。
お店は物を買いに行くところ。
レストランはごはんを食べに行くところ。
そこに教える人や売る人、料理を作る立場の人がいるということを案外意識していないのです。
こういう話をするのはあまり上品なことではないかもしれませんが、お金の流れを知ることは世の中を知ることでもあります。
仕組みがわかっていれば楽な儲け話がそうそう転がっていないこともわかりますし、立場の違う人たちへの思いやりも生まれてくると思います。
これからも機会があればぜひ子どもたちに、こういった話を伝えて行きたいと思っています。