ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

読み取れなかった本の感想文

今回感想文講座に申し込んでくれた、ある生徒さんが選んだ本。

ゾウの森とポテトチップス (そうえん社写真のえほん)

ゾウの森とポテトチップス (そうえん社写真のえほん)

『ゾウの森とポテトチップス』

 

今年の小学校中学年の課題図書になっている本です。

ざっと目を通したところ、「私達がなんとなく使っている物のせいで、ゾウの暮らしが脅かされている・・・」といった趣旨のことが書かれていました。

ただ、中学年に向けて書かれたわりにはかなり字数も多く、内容も難しいものでした。

その子はゾウが好きで、表紙の写真に惹かれてその本を選んだそうですが、中身は難しくてあまり理解できなかったようです。

「どんなことが書かれていたの?」

「ゾウとポテトチップスとどういう関係があるの?」

と尋ねても、うまく答えが返ってきません。

 

というわけで、素直にそのままの感想を書いてもらいました。

 

ゾウが好きで写真にひかれてこの本を選んだけれど、中身が難しすぎる。

ゾウのことが知りたいのに関係ない話ばかりだし、用語も難しくて何度も辞書でひいた。辞書にのってないものはパソコンで調べたけど、それでもよくわからないものもあった。

でも写真はすごくいい!どれもすばらしい!難しいけれどとにかく写真は楽しめる。

もう少し大きくなったら文も楽しめるようになりたい。

 

おおまかにはこのような内容の作文です。

これをもっとくわしく例を挙げながら、3枚書きました。

無理やりわかったような気になって書かず、読んだままの素直な感想が書かれています。

文が難しくて四苦八苦してる様子もよくわかるし、写真のことを書く時は文体も活き活きしていて、その子の興奮が伝わってくるような文でした。

 

入賞を狙うような内容ではないけれど、今年指導した作品の中ではかなりお気に入りの作品です。

感想文とは本来こういうものであるべきだと思うのです。

もっと子どもたちが自由に、こういう作品を堂々と書けるような風潮になるといいなあと思います。