ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

聞く力

音読をするとき、本文を隠してわたしが読むものを復唱する練習もあわせて行います。

これは読むための訓練ではなくて聞く力を養うためにおこなっています。

(聴力とは違う意味で)耳のいい子は、相手の言葉をスラスラ復唱します。

一文字一文字ではなく音のまとまりでとらえることができるからです。

この能力は学年はあまり関係なくて、低学年であってもスラスラ言える子もいますし、高学年や中高生でもすぐに詰まってしまう子は大勢います。

個人的には音楽をやっている生徒はわりと聞きとり上手な気がします。

 

音をさっと聞き分ける力はとても大切です。

一瞬意味が理解できなくても、自分でもう一度取り出してじっくり考えたり調べることができます。

聞き取ることすらできなかったら、わからなかった情報はただ流れていってしまいます。

 

うちの生徒さんでいつも行動が1テンポ遅れる子がいます。

「さあ、この文章をノートに書くよ」

と言ってもしばらくボーっとして、周りを見てあわてて書き始めます。

「AとBとCをやってね」

と言ってもAだけやって終わった気になっていたりします。

実はこの子が今いちばんうちの教室で「耳で聞いて復唱する練習が苦手」な子です。

そう、私の指示も聞き取れていないのです。

集中していないといえばそれまでですが、人よりもかなり集中していないと内容を聞き取れないのだと思います。

おそらく日本人が英語で会話するような感覚だと思います。

1対1で相手の言葉を真剣に聞いていればちゃんと内容は聞き取れるのですが、何か作業をしながら話しかけられたり、近くにいる子たちの会話が耳にはいってもすんなり頭にはいってこない。

耳がその言葉に慣れていないのです。

 

聞く力を訓練しないとどの教科でも理解するまでに苦労することが予想されます。

だって小中学生の勉強内容でも、外国語で習ったら大変ですよね?

この子に必要なのは聞く訓練。

幸いまだ低学年なので、小学校の間にたっぷり訓練する時間がありますから、あせらずじっくりすすめていきたいと思います。

 

もし中学生や高校生で

「あ、自分は聞く力が弱いな」

と思ったら、訓練ももちろんですが

「自分は聞くのが弱いから他の子よりも聞くことに集中しなければいけない」

という意識が大切です。

他の子と同じように作業しながら聞いたりおしゃべりしながら授業をうけていると、自分だけどんどん遅れていくことになります。

以前見た中学3年生の子たちについて個人ブログで書いた自分の特性を知るという記事の「雰囲気に流されやすいタイプ」がまさにそのタイプですね。