やたらめったらしゃべる子がいます。
誰かとおしゃべりするわけじゃなくて、ひとつの質問に何倍もの量の言葉で返事をするのです。
たとえば
「どっちが正解だと思う?」
と尋ねると
「こっちはこういう風であってそうなんだけど、あっちもこういうところが似ていて、でもやっぱりこっちかと思うけど、僕こういう問題苦手で、この間もこんなことがあって、それでこういうやつなら得意なんだけど・・・・・・」
とずーっとずーっといつまでも話し続けます。
「ちょっとこれ読んで考えてみて」
と声をかけても、黙って問題を読むのは3秒くらい。
すぐに
「あー、コレに似た話しってる。あのね・・・」
と話をはじめます。
「つまりどう思うの?」
としつこく聞くと、ためらいがちに小さな声で
「ええと・・・たぶん・・・○○と思う・・・・・・けど・・・でも」
私はこの子のマシンガントークの一番の原因は自分に自信がないせいだと考えています。
はっきりした自分の考えを述べて、それに対して評価されることがこわい。
質問に答えて正解とか間違いとか合否をつけられるのがこわい。
だからたくさんの言葉を並べて、自分の意見をぼかしているのです。
というわけでこの子には一問一答形式で質問ぜめしました。
「今日なにたべた?」
「今欲しいものは何?」
「それはどうして?」
「手に入ったらどう使う?」
「このあと予定はある?」
と、次々出される質問に答え続けるのです。
答え以外の言葉は「ええと」とか「うーん」とかも禁止です。
大人でも不安が原因でやたらとしゃべる人がいますが、そんなふうに言葉を並べるほど、相手に伝わる内容は薄まっていきます。
余計な言葉でごまかさず、その考えをそのものズバリを述べる
言いたいこと、言うべきことだけにしぼって最低限の言葉で答える。
結構勇気のいることですが、人に物を伝えるにはそういう力も必要なのです。