ゆとり国語教室のブログ

愛知県犬山市にある小さな国語教室です。目標は塾のいらない子を育てることです。

マシンガントークと不安

やたらめったらしゃべる子がいます。

誰かとおしゃべりするわけじゃなくて、ひとつの質問に何倍もの量の言葉で返事をするのです。

たとえば

「どっちが正解だと思う?」

と尋ねると

「こっちはこういう風であってそうなんだけど、あっちもこういうところが似ていて、でもやっぱりこっちかと思うけど、僕こういう問題苦手で、この間もこんなことがあって、それでこういうやつなら得意なんだけど・・・・・・」

とずーっとずーっといつまでも話し続けます。

 

「ちょっとこれ読んで考えてみて」

と声をかけても、黙って問題を読むのは3秒くらい。

すぐに

「あー、コレに似た話しってる。あのね・・・」

と話をはじめます。

「つまりどう思うの?」

としつこく聞くと、ためらいがちに小さな声で

「ええと・・・たぶん・・・○○と思う・・・・・・けど・・・でも」

 

私はこの子のマシンガントークの一番の原因は自分に自信がないせいだと考えています。

はっきりした自分の考えを述べて、それに対して評価されることがこわい。

質問に答えて正解とか間違いとか合否をつけられるのがこわい。

だからたくさんの言葉を並べて、自分の意見をぼかしているのです。

 

 

というわけでこの子には一問一答形式で質問ぜめしました。

「今日なにたべた?」

「今欲しいものは何?」

「それはどうして?」

「手に入ったらどう使う?」

「このあと予定はある?」

と、次々出される質問に答え続けるのです。

答え以外の言葉は「ええと」とか「うーん」とかも禁止です。

 

 

大人でも不安が原因でやたらとしゃべる人がいますが、そんなふうに言葉を並べるほど、相手に伝わる内容は薄まっていきます。

余計な言葉でごまかさず、その考えをそのものズバリを述べる

言いたいこと、言うべきことだけにしぼって最低限の言葉で答える。

結構勇気のいることですが、人に物を伝えるにはそういう力も必要なのです。