私が生徒を教えるときに気をつけていることに、困るまで待つということがあります。
「今言ったことはノートにメモしておきましょう。」
「読むときはこのことに気をつけてやってみましょう」
「この問題はこのやり方で解きましょう」
など、前もって言ってしまえば正直楽ですが、それではただいいなりになっているだけで、なかなか実力には結びつきません。
何かが身につくのは子どもが
困ったな
どうにかしたいな
と思った時です。
だから困るまでひたすら待ちます。
待って待って、行き詰まったときに初めて指導をします。
前に習ったことに答えられなかった時に「書き留めておけばいいんじゃない?」
書き留めたメモが見つけられなければ「見つけやすいように見出しをつけたらいいよ」
ひとつひとつ数えて解くのが面倒になってきたら「楽な計算方法があるよ」
困ったと思ったことを解決する手段として提示された指導なら、子どもは喜んで飛びつきます。
できれば早めに教えたいので、困るように仕向けたりはしますが・・・。
たまに教室を見学されるお母さんたちは、授業の様子を見て
「ほら、みんなもやってるからこうして」
「さっきの話、ちゃんと書いておいて」
など声をかけてくださる場合がありますが、気になさらなくても大丈夫です。
こっそり閻魔帳(笑)に状況を書きとめながら、声のかけ時や注意のタイミングをはかっています。
子どもが間違ったことをしていたら直したくなるし、もっといい方法があるなら教えたくなります。
でも本人がそれで満足している間は、どんなに言ってもうっとおしいだけです。
待つという行為はかなり精神力が必要ですが、ぜひご家庭でもできるだけ先回りせず、子どもの困り時を見極めてもらえたらと思います。